甲状腺腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があります。良性腫瘍では嚢胞、濾胞腺腫、腺腫様甲状腺腫、またはこれらの腫瘍が混在した場合が一般的です。嚢胞は小さければ治療の対象になりませんが、大きい場合は圧迫感や炎症により痛みの原因となることがあり、エタノールを注入して腫瘍の縮小を図るPEITとよばれるエタノール注入療法が有効な場合があります。
濾胞腺腫と腺腫様甲状腺腫では腫瘍が大きい場合、腫瘍マーカーであるサイログロブリンが高値の場合、悪性腫瘍との鑑別が困難な場合には手術の適応となります。病理学的には濾胞腺腫は腺腫、腺腫様甲状腺腫は過形成であり、特に腺腫である濾胞腺腫は悪性腫瘍である濾胞癌との鑑別が重要となります。